いよいよ出産当日を迎えました。
前日までは、赤ちゃんと会える楽しみよりも、手術の不安や術後の痛みの心配ばかりしていました。何しろ意識がある状態でお腹を切られるわけですからね…^^;
でも入院して、他の部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、ようやく「これから出産して赤ちゃんと会えるんだ」という喜びの気持ちもでてきました。
目次
当日朝~手術開始まで
当日は朝から絶食で、飲み物は8時以降禁止でした。
手術中は手の甲に太い点滴の針を刺すので、まずは8時に痛み止めのテープを手の甲に貼りました。
それから、検温と血圧測定、胎児心拍のチェックを行いました。
手術の翌日以降に飲む痛み止めの薬も出されましたが、これは必要なければ飲まなくて良いとのこと。お腹を切ったのに痛み止めの薬がいらないなんてことがあるんですね…。
逆に飲み薬だけで効かない場合は、点滴で痛み止めを入れてもらえるそうです。
手術着に着替えて、血栓予防の弾性ストッキングを履いてその時を待ちます。
以前子宮筋腫の腹腔鏡手術をしたことがあったので、慣れもあるのか、特に緊張はしませんでした。
それよりも「今お腹の中にいる赤ちゃんが今日のお昼には外に出てくるんだ」と思うと、不思議な気持ちでした^^
ちなみに、浣腸とか剃毛はなかったです。子宮筋腫の手術の時は、前日夜に下剤を飲んで腸を空にしたのですが、それもなかったので驚きました。
術後にまだトイレに行けない時にお通じが来てしまったらどうなるんだろう…
11時20分、いよいよです。病棟のエレベーターの前で夫と別れ、手術室へ移動しました。
手術室はラベンダーのアロマを炊いてリラックス系のBGMをかけてくれていたので、少しリラックスできました。
硬膜外麻酔と脊椎麻酔、麻酔をする時の痛みは?
病院や状況によりますが、私が出産した時は「硬膜外麻酔」と「脊椎麻酔」の2種類の麻酔を使用しました。
全身麻酔ではないので、手術開始から終了までずっと意識がある状態です。
麻酔をかける時に背中に針を刺すのですが、帝王切開経験者の話を聞くとこれが痛いそうで、かなりドキドキしました。
というか、私は極度のくすぐったがりで、背中を触られるとビクっとなってしまうので、それが恥ずかしいし大変でした^^;
すぐビクっとなってしまうので、ずっと「すみませんすみません」と言ってました。笑
針を刺すときは、横向きになって背中を思いきり丸くします。お腹が大きいので苦しくて、この時胃酸が上がってきました^^;
(そのことを看護師さんに伝えたら、点滴に吐き気止めの薬を入れてくれました)
そして針を刺されるのですが、これがちょっと痛かったですねー。刺す時だけでなく、薬剤が注入されるとしみるんですよね。あと時間も長めです。
でも想像していたほどではなく、不妊治療クリニックでやった「卵管造影検査」なんかに比べたら、それほどでもないかなと思いました。
まぁ、痛いは痛いんですけどね。
お腹が大きくて大変だけど頑張って背中を丸める、背中を麻酔科医の先生の方に突き出すようにするのがコツだそうです。
で、この痛い注射が硬膜外麻酔をする時の痛み止めだと思うのですが、これをやったら次は背中に何かを「グッグッ」と押されます。多分この時にカテーテルを入れているのでしょうね。
それが2回あって、次は下半身をしびれさせる「脊椎麻酔」です。(脊髄くも膜下麻酔、腰椎麻酔とも言われます)
脊椎麻酔の薬が入ると下半身からポカポカしてしびれてきます。
それから麻酔の効き具合をチェックされます。
まずは鎖骨に冷たい金属を当てられ、徐々に下の方に移動し、お腹のあたりが同じように冷たさを感じるか確認されました。脊椎麻酔が効くと、触られる感覚は残るのですが、痛いとか冷たいという感覚はなくなります。
このチェックを何度か繰り返し、最終的には胸のあたりまで冷たさを感じなくなりました。
同じ病院で帝王切開で出産した知人が、麻酔がちゃんと効いていなくてひどい目にあったという話を聞いていたので、ちょっと不安だったのですが、私の場合は十分すぎるくらい効いたようです。
チェックされた時にちょっとでも冷たさを感じたら、遠慮なく言った方がよさそうです。
いよいよ帝王切開開始
麻酔が効いたら、いよいよ手術開始です。
その時にはもうお腹の方が見えないように顔の前に布がかけられているので、何が起こっているのか全くわかりません。
手術室のスタッフの方たちが、ゆるい感じで「〇〇担当の〇〇です」みたいな自己紹介?をしていました。
よくドラマで見るような「これから〇〇術を始めます。メス。」みたい感じではなくて、メスがいつ入ったんだか全くわかりませんでした。
もし「メス」って言ってから始まっていたら、かなり恐怖だったと思います^^;
そこからはもうされるがままで、今何が行われているのかわかりません…。
しばらくして、お腹を強く押されました。痛くはないのですが、苦しかったです。
そして…ついに赤ちゃん誕生です!
ドラマの「コウノドリ」にあったような「赤ちゃん生まれるよー!」というような声かけはなかったですね^^;
経腟分娩と違って、赤ちゃんはいきなりお腹から出されたのでびっくりしたのか、「ホギャッ」という短い産声が聞こえて、それで生まれたんだなとわかりました^^
取り出されたあとはそのまま部屋の奥に連れていかれ、「オギャーオギャー」という泣き声が聞こえてきました。
その間、私からは赤ちゃんの姿が全く見えません。
赤ちゃんは無事に生まれてくれましたが、自分は何もしていないので、正直なところ「産んだ」という感覚ではなかったですね。
「遠くで赤ちゃんが泣いているなー」という感じでした。
多分体を拭いたりとか処置をされて、しばらくしてから私の目の前に赤ちゃんを連れてきてくれました。とても小さな赤ちゃんでした。
36週の妊婦健診の時は推定体重2700gと聞いていたので、出産の時には3000g近くなっているかな?と思っていたのですが、生まれてみたら「低出生体重児」とされる2500gをギリギリ超えたくらいでした。
赤ちゃんの手と顔をツンツンと触って、「初めまして」と声をかけました。号泣しちゃうかなと思ってましたが、ちょっと涙が流れたくらいでした。
よく耳にする「カンガルーケア(生まれたあとすぐに母親の胸の上で抱っこする)」はなかったです。
妊娠中は仰向けで寝ているとお腹が重かったですが、赤ちゃんが出たあと胎盤を取ったら、なんだかお腹が軽くなったような気がしました。
しばらくして赤ちゃんは先に病棟に戻り、夫と対面したようです。
手術の終盤に子宮を収縮させる点滴を始めたので、縫っている途中から軽く右下腹部が痛み始めました。
出産すると子宮は右に移動するので、子宮が収縮すると右下腹部が痛むのだそうです。
出産から30分か1時間くらい?してから手術が終わり、ベッドに寝たまま病室に運ばれました。
手術後病室に戻り、母子同室の開始
病室に戻ると夫が一人でいました。赤ちゃんは体温を上げて安定させるため、新生児室にいるとのこと。
しばらくしてから赤ちゃんは病室に連れてこられました。この病院では全員母子同室で、帝王切開の場合でも(母子ともに問題なければ)出産当日から同室になります。
生まれたばかりの赤ちゃんはとても小さくて弱々しく、数秒泣いて数秒泣き止むのを繰り返していました。
私はまだ脊椎麻酔が効いているので、ベッドから起き上がることもできません。
生まれたばかりの赤ちゃんは、胎便という黒いウンチをします。助産師さんがおむつ替えをしてくれて、夫もそれを見て学んでいました。
それから、初めての授乳もしました。
と言っても私は動けないので、助産師さんが私のベッドに赤ちゃんを寝かせて、飲ませてくれました。
最初は赤ちゃんもうまく吸えないので舐めるだけのことが多いそうなのですが、上手に吸っていました。ただ、多分母乳はまだでていないと思います。
何度も吸わせることで、ちょっとずつ出るようになってくるそうです。
赤ちゃんはまだおっぱいを飲みたそうだったのですが、夫がもう帰らないといけない時間になってしまいました。
ちょっとしたことで何度もナースコールで呼べる雰囲気ではなかったので、一度助産師さんに来てもらいました。
そして、私に代わって夫が赤ちゃんの抱っこの仕方や寝かせ方を教えてもらい、帰る前に今日唯一の食事であるゼリーを食べるのを手伝ってもらいました。
(手術当日の飲食は、ポカリスエットとゼリーのみ)
というのも、飲み物やゼリーを飲んだり食べたりしたくても、自分で冷蔵庫を開けて出すことができません。
そもそも上体を起こせないので、ベッドのリクライニングの操作をしてもらわないと、ゼリーを食べることもできなかったですね。(リクライニングは手動でした…)
なので、身の回りのことをやってくれる人が病室にいてくれると、とても助かります。
出産後の赤ちゃんのお世話については、帝王切開体験談の続きでもまた書きますが、この病院では産後結構放置されるので、自分から積極的に聞かないと何もわからないままになってしまいます;_;
抱っこの仕方やおむつの替え方なんて、慣れてしまえば大したことないのですが、私や夫にとっては生まれて初めてのこと。
赤ちゃんに触るのでさえこわごわとしてしまいます^^;
産後は一通りのことを教えていただけるんだと勝手に思っていましたが、助産師さんからすると知ってて当たり前のことという感じなのでしょうか?
とにかくわからないことだらけでした><
出産後の心境
結婚して以来、夫はずっと子どもを切望していました。しかしなかなか授からず、3年間の不妊治療を経てようやく授かった我が子。
赤ちゃんが無事に生まれて夫と過ごしていた時は、とにかく夫に我が子と会わせてあげられたことが嬉しくて、ホッとした気持ちが強かったです。
そして夫が帰り、夜になって赤ちゃんの寝顔を見ていたら、本当にかわいくて、「こんなに幸せなことはないなぁ」としみじみ実感したのでした。
母になった実感も少しずつ湧いてきました。
手術当日の痛みはどんな感じ?
先ほども書いたとおり、手術が終わる前、傷口を縫っている時から少し右下腹部に痛みがあり、手術後3時間ぐらいすると、その痛みが強くなってきました。
おそらく、子宮収縮の点滴が切れたので交換して、再度収縮が始まって痛みが強くなったのだと思います。
そこから1時間後ぐらいに痛み止めの薬を点滴に入れてもらったところ、気づいたら痛みが全くなくなっていてびっくりしました。
私はかなり利きが良いタイプみたいで、ラッキーですね^^;
下半身をしびれさせる脊椎麻酔は、手術後5時間ほど経った頃には大分切れて、足先のしびれはあるけれど、動かすことはできるようになっていました。
ただ、体の向きを変えるのは難しかったです。
痛み止めが効いているときは本当にラクで、おそらくこの時が入院中で一番ラクだったと思います^^;
どうせ何もできないし痛くもないので、出産報告のメールを送ったりしていました。(動けるようになって麻酔も外れたら余裕がなくなってくるので、ここでやっておいて正解でした)
ずっと仰向けで寝ていたのですが、腰が痛くならなかったのは多分、硬膜外麻酔が効いているからなのでしょうね。お腹はまだ大きいままですが、軽くなったので、仰向けで寝ても苦しくないのは久しぶりでした。
生まれたばかりの赤ちゃんは夜行性というのは本当だった!
妊娠中の母親教室で「赤ちゃんは夜行性で、夜中の2時ぐらいに一番元気になる」というのを聞いていたのですが、それは本当でした。
23時ぐらいから元気になりだし、深夜の1時頃になると、そこかしこの病室で赤ちゃんが泣いて大合唱^^;
私はまだベッドから起き上がることができないので、赤ちゃんが泣いても、声をかけたりベビーベッドに手を伸ばしてトントンすることしかできませんでした。
何度か夜勤の助産師さんが来て「預かりましょうか?」と言ってくれたのですが、生まれたばかりの今この瞬間がとても貴重に思えて離れがたく、しばらくは同室のまま過ごしました。
でもずっと泣かせたままでは隣の部屋の方にも悪いし、ある程度まとまった時間寝ておきたかったので、結局預かってもらい、その日は4時間ほどぐっすり眠ることができました。
帝王切開体験談③に続きます。
【帝王切開体験談②】手術当日のこと。麻酔や手術の様子、術後の痛みは?
【帝王切開体験談③】手術翌日の痛みと、帝王切開後の授乳の大変さ
【帝王切開体験談④】産後2日目。硬膜外麻酔が外れた後の痛みと、母乳育児の反省点
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